歯磨きに予防効果が有るのは、口中の細菌数を減らすことで危険な感染症の予防効果につながります。
鼻や咽喉の粘膜はタンパク質の膜で覆われていますが、繁殖した口中細菌が出す酵素によって膜が溶かされますと、そこからウイルスが細胞に侵入しやすくなってしまいます。
手指の消毒法 |
長所 |
短所 |
ラビング法(擦式法)
消毒薬を手のひらに取り、乾燥するまで摩擦する方法。 |
最も除菌効果が高く簡便である。 |
汚れが付着している場合は、流水、石けん等で洗い流してからおこなわなければならない。 |
スクラブ法(洗浄法)
洗浄剤配合の消毒剤:流水で付着した汚れをとり同時に消毒 |
汚れ落としと消毒が同時に出来る |
蛇口のない場所では使用できない。 |
スワブ法(清拭法)
消毒薬をガーゼに含ませ拭き取る方法 |
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多量の汚れが有る場合は不適。 |
ベースン法(浸漬法)
一定濃度の消毒薬をベースンに入れて手指を浸して洗う方法 |
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汚染の原因になり易く短所が多いため、 現在では廃止。 |
○ 始めに石けんを付け、泡立て洗う。爪の先・手の甲・手首
その後流水の勢いを利用して手の各部の汚れを落とす。
そしてラビング法で消毒。
○滅菌:芽胞を含む全ての微生物を殺すか除去した状態にし、完全な無菌状態にします。
○殺菌:細菌の細胞を破壊して死滅させます。
○消毒:有害な病原微生物を殺し、その伝染性を失わせることです。
滅菌のような無菌状態にはなりません。
○抗菌:細菌の増殖を阻止すること。 (抗菌剤の例、抗生物質・サルファ剤等)
○静菌:微生物の増殖を薬剤があるときだけ阻止します。(無くなれば増殖)
○除菌:微生物を物理的に取り除きます。(手洗い・濾過等)
ウイルスはDNA又はRNAいずれか一方を
中心にして,蛋白質の穀で包まれており、インフルエンザウイルスはRNAウイルスに属します。また、インフルエンザウイルスは脂質と糖蛋白質からなる被膜(エンベロープ)で覆われており、このエンベロープ表面の突起で,赤血球等細胞の表面に結合する性質(下記@)があります。また、エンベロープ表面の別の突起で細胞外への放出(下記E)が行われ、感染が進んでいきます。
ウイルスは、蛋白質や核酸の合成に必要な場と材料を欠いているので、人工培地上で増殖できず、生きた他の細胞内(他者)に寄生して、他者を利用して自己を合成し増殖します。ウイルスの増殖過程は6段階に分かれます。
@吸着(他者に付着)
A侵入(他者細胞の食作用又は他者細胞膜の融合により蛋白質の穀に包まれたDNA又は
RNAが他者の細胞質内に入る)
B脱穀(蛋白質の穀が取り除かれ、裸のDNA又はRNAとなる。)
C素材の合成(ウイルスのDNAまたはRNAの遺伝情報で子孫のウイルスの素材が生合成される)
D成熟(素材が組み合わされ、ウイルス粒子ができる)
E細胞外への放出(細胞の破壊等により、細胞外に遊離する。ウイルス粒子が感染から増殖
する時間は、一般的に10時間前後であり、子孫ウイルス粒子数は数百〜数千個である)
上記の結果、感染細胞は破壊し死滅します。これがウイルスの病原性に結びついています。
○消毒に適した濃度(約70%)のエタノール・イソプロパノールは、エンベロープを有するウイルスに対し有効ですので、インフルエンザウイルスに対して効果を発揮します。
○塩素消毒には次亜塩素が挙げられます。次亜塩素酸ナトリウムは知られている全てのウイルスに有効です。低残留性でありながらグルタールアルデヒドと同様に強力な殺菌力を示し、耐性菌ができにくい特徴が有ります。
○次亜塩素酸ナトリウムの殺菌作用は遊離した塩素イオンによる酸化作用であり、酵素蛋白、核蛋白の酸化,破壊によるものです。
○次亜塩素酸ナトリウムはグラム陽性菌、グラム陰性菌、芽胞、真菌、ウイルスに有効ですが、結核菌には無効です。
MRSA, 緑眼菌,HBウイルス,AIDSウイルス(HIV)に対しても有効です。
○次亜塩素酸ナトリウムは光によって徐々に分解し、効力の低下が起こるので用時調製して使用し、原液は遮光冷所保存することがよいでしょう。